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ワーミー教授の硝酸態窒素講座

 

ねえ、博士「硝酸態窒素」ってなあに?  

ん?なんじゃ

随分難しいことを聞いてくるのお。

 

近所のおじちゃんが言ってたの、

食べると体に良くないけど、野菜に沢山入ってるんだって。

 

あのなあ、野菜を食べて体に悪い訳ないだろ?

農薬じゃあるまいし。

 

いやいや、硝酸態窒素は間違いなく体に悪いし、

野菜や果物に含まれてもおるんじゃよ。

 
えー!?どういうこと?  

ふむ、では説明しようかの。

 

まず最初に、

植物が育つのに必要な栄養素は何か

2人は知っているかの?

 

えーと・・・

お日様でしょ、お水でしょ、

それから〜・・・。

 

植物の栄養って言うと肥料に決まってんだろ

鶏糞とか牛糞とか・・・。

 

いや、その通りなんじゃが・・・

もう少し化学的な話としてじゃよ。

化学的には「窒素」「リン酸」「カリウム」

が植物の三大栄養素と呼ばれておる。

 
硝酸態窒素にも「窒素」ってついてるね。  

そうじゃな、植物は窒素を

硝酸態窒素という形で根から吸収するんじゃ。

 
だから肥料を土の中に撒くわけか・・・。  

その通りじゃ、

まず、鶏糞や牛糞と言った「有機肥料」や

動物の死骸等が分解されると「アンモニア態窒素」が生成される。

 
腐っていく過程ってわけだ。  

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、アンモニア態窒素が土壌中の硝酸菌の作用で、

亜硝酸態窒素を経て、硝酸態窒素になると言うわけじゃな。

因みに、硝酸態窒素を直接与える肥料は「化学肥料」と呼ばれるんじゃよ。

 

ここまでのおさらいと補足じゃ。

 

アミノ酸 タンパク質(有機窒素)

             ↓

アンモニア態窒素(NH4+-N)

 

動物の死骸や有機肥料の主成分はタンパク質やアミノ酸等の「有機窒素」と呼ばれる物で、それが分解されるとアンモニア態窒素が生成される。

そして、アンモニア態窒素が硝酸菌に酸化されて、硝酸態窒素や中間物質である亜硝酸態窒素等が生成される訳じゃ。

 

NH4+-N + 2O2 → 2H2O + NO2+-N(亜硝酸態窒素)

 

2NH4+-N + 5O2 → 4H2O + 2NO3-N(硝酸態窒素)

 

では、次は植物が吸収してどうなるかの話じゃ。

 

硝酸態窒素は植物に根から吸収されるわけじゃが、

吸収された硝酸態窒素は「基本的」には光合成に使われ、成長の栄養になるのじゃ。

 
じゃあ、沢山有った方が良いじゃないか。  

と言っても、栄養の過剰摂取が良くないのは動物も植物も同じでの、

摂取しすぎると葉っぱに硝酸態窒素を溜め込んでしまうんじゃよ、

動物が脂肪として栄養を溜め込むようにの。

 
植物も太っちゃうんだね。  

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そうじゃな

しかも、植物は動物と違い、自分の意思で栄養摂取を止める事が出来んからの、有れば有るだけ摂取してしまうんじゃ。

 

さて、ここからが本題じゃ。

硝酸態窒素が体内に摂取された場合どうなるか、話すとしようかの。

 

硝酸態窒素が体内に摂取されると、まず亜硝酸態窒素に還元される。

 

2NO3-N →  2NO2-N +O2

 

亜硝酸態窒素は血中のヘモグロビンを酸化させて、メトヘモグロビンを生成してしまうんじゃ、メトヘモグロビンは酸素を送ることが出来ないので、メトヘモグロビン症という酸欠症を引き起こすのじゃよ。

 

ひえ〜・・・、

怖いですね〜・・・。

 

 

 

また、亜硝酸態窒素は第二級アミン(※1)と結合して

ニトロソアミンを生成することもある。

 

(CH3)2NH + HNO2 → (CH3)2NNO

 

このニトロソアミンは強力な発ガン性が有る事が確認されておる。

 
おいおい、シャレになってねえじゃねえか!!  

 

 

 

 

 

では、ここまでのまとめと補足じゃ。

 

1、植物は過剰摂取した硝酸態窒素を溜め込む

2、人間が硝酸態窒素を体内に摂取すると色々と危険

 

では、硝酸態窒素問題の現状について説明しようかの。

 

まず、日本では2011年2月現在で、野菜の硝酸態窒素の規制は行われておらん。(※2)

 
マジかよ!  
市販の野菜の中には高濃度の硝酸態窒素が含まれているものがある。  
うわ〜・・・。  

 

 

 

なので、硝酸態窒素の対策は農家さんにお任せするしかない状況なのじゃ、

野菜を食べないわけにもいかんからのお・・・。

 

それを踏まえた上でどうすれば良いかを教えていくとしよう。

 

窒素は肥料に多く含まれているのじゃが、

硝酸態窒素を直接与えると必然的に大量の硝酸態窒素を吸収してしまう。

化学肥料のやりすぎは厳禁じゃな。

 
有機肥料なら良いのか?  

物にもよるがの。

通常の有機肥料であれば、大量に使わなければ大丈夫なはずじゃ。

 
それでも沢山使ったら駄目なんだね・・・。  

何事も程々が肝心じゃ。

「過ぎたるはなお及ばざるが如し」

とわしの古い友人も言うておったしな。

 

と言っても、硝酸態窒素が多い野菜はあるんだろ?

どうすりゃ良いんだよ。

 

硝酸態窒素は水に溶けやすいと言う弱点があるんじゃ。

なので、水に漬けたりお湯で茹でたりしてやると硝酸態窒素が野菜から出て行くはずじゃ。

最後に絞ったりすると効果覿面じゃな。

 
茹でて食べると安心なんだね。  

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

と言っても半分くらいじゃがの。

元々少ない物を食べるにこした事は無いぞ。

 

では最後のまとめじゃ。

 

1、2011年2月現在、日本では野菜の硝酸態窒素に関する規制はない(※2)

2、化学肥料のやりすぎは厳禁

3、有機肥料でも大量に使うと危ない

4、茹でると野菜内の硝酸態窒素が減る

 

※1、アンモニアの水素原子を炭素で置換した化合物。

※2、EUでは硝酸態窒素濃度が3000ppm(0.3%)を超える野菜は「汚染野菜」として、流通が禁止されています。

 

本日の講義はここまで、何かの参考になれば幸いじゃ。

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